夏ロボ機構紹介(射出機構)

こんにちは、2018年度入学機械班リーダーのたくぽんです。今回は この記事 に引き続き、去年8月に行われた「関東夏ロボコン」出場機体の1機構を紹介していきたいと思います。

関東夏ロボコンのルールやMaquinistaの戦績はこちらの記事をどうぞ。

紹介する機構

関東夏ロボコンでは、ロボットが約5m離れた相手陣地までスリッパを投げ入れてその得点を競いました。今回はMaquinistaAチームの「スリッパ射出機構」を紹介します!

Aチームスパイロボット「LEOPARD」

真ん中の長く突き出ている機構がスリッパ射出機構です。学部2年の夏に私が設計しました!

仕組み

機構は画像のように大きく3つに分かれています。ロック部分は駆動部分とつながったベルトによって、画像の範囲で動くことができます(画像ではベルトを省いています)。バネをチャージするときはロック部分を動かし、射出部分を引っ掛けて駆動部分のところまで引っ張ってきます。次に駆動部分にもロック部分を引っ掛け、モーターに電気を流してベルトを引かなくてもバネを保持できるようにします。射出時にはロックを外し、バネに引っ張られる射出部分の勢いでスリッパを飛ばします。

射出機構の詳細

↓バネをチャージする様子

さて、先ほどからバネと呼んでいましたが、このようなドラム型のバネはあまり見たことがないと思います。このバネは「定荷重バネ」という特殊なバネで、バネの伸びにかかわらず一定の力が出る特徴があります(F=kxでなく、F=一定になる)。

定荷重バネ 出典:モノタロウ

馴染みのないものに思えますが、一定の力を生むその性質を生かして重量物の重さをバネ力で打ち消すという使い方ができ(自重補償と呼んだりします)、軽い力で昇降できる黒板や電車の窓に使われています。

ロボコンでもよく自重補償に使いますが、モノを飛ばすときに使われることも多いです。モノを飛ばすことにおいて定荷重バネが普通のバネよりも優れているかは議論の余地ありですが、Maquinistaではあまり使われてこなかった機構だったこともあり、夏ロボでは技術開発を兼ねて採用しました。

こだわり

一番こだわったのはロック部分です。ロック部分には2つのツメがあり、それぞれ射出部分、駆動部分と引っかかります。

↓ツメが引っかかる様子(いい音がするからできれば音付きでみてね!)

ここで、チャージしたバネをリリースするときを考えてみます。射出直前には下の画像のように、ツメが2つとも引っかかっています。射出を成功させるには、必ず射出部分側のロックが先に外れ、そのあと駆動部分側のロックが外れる必要があります。駆動側が先に外れればロック部分も射出部分と一緒に動いて、重量増加で射出の勢いを殺してしまいます。かといって駆動側のロックが外れないとロック部分を動かすことができなくなり、1度しか射出ができません。

バネがチャージされた状態の射出機構

両方のツメにそれぞれ動力をつけて時間差で動かせば解決するのですが、1つの動力で実現できたらスマートですね。

画像の駆動部分側のツメ形状を工夫することでそれを実現しています。動力がついている左のツメがある程度動いた後に右のツメに当たることで、必ず左側の後に右側がひらきます。

真横からみたロック部分
ロック解除の動き

動力が少なくて高密度な機構になっているのが個人的なおしゃれポイントです。カチャッっていうロック音が気持ちいいですね。

おしまい

夏ロボAチームの射出機構を紹介しました。設計された機構を通じて、設計者の意図や理念を垣間見ることができます。自分であればそれは動力をなるだけ少なくしたりバネを使ったりすることですが、まったく違う思想で設計している人もいます。自分の理念に沿った設計する楽しだけでなく、自分とは違う思想の設計にも深く触れ合えるのがチーム開発のいいところですね。

もし興味がわいたなら、ぜひぜひMaquinistaへ!

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