はじめてのロボットづくり

こんにちは。2019年度入学、機械班の梅田です。

今回の記事では、「関東夏ロボコン2019」の実際の出場機体に搭載した機構について紹介します。この機構は、私がMaquinistaに入会して初めて設計したものです。

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夏ロボってなに?

機構の紹介の前に、関東夏ロボコン(通称「夏ロボ」)について少し説明します。

関東夏ロボコンは、一言で言うとロボコンにおける新人戦みたいなものです。8~9月頃に開催される、1年生も主体となって参加するロボコンです。このロボコンを通して、NHKロボコンに向けた練習や新入生教育が行われます。

2019年関東夏ロボコンの競技課題は、スリッパを投げて相手の陣地に入れるといったものでした。「盗聴器」に見立てたスリッパを相手陣地に投げ入れる「スパイロボット」と、自陣に落ちているスリッパを拾い集めてスパイロボットに渡す「公安ロボット」の2台1組で出場します。

MaquinistaはAチームが第三位、Bチームが優勝という好成績を残しました!

リンク:関東夏ロボコンの記事

どんな機構?

ロボ外観

私たちのチームは、2台1組のロボットで出場しました。画像右が公安ロボット「The-Hand」、左がスパイロボット「Rook」です。

こちらはテストランの様子です。画面手前がThe-Hand、画面奥がRookです。

実際の試合の様子です。画面手前がThe-Hand、画面奥がRookです。

The-Handの正面下部についている黄色の部品の周辺が今回紹介する機構です。

動画は試作機のため形状が異なりますが、動作は同じです。エアシリンダという、圧縮空気で動くピストンのような機器の動力で開閉します。

なにをする機構?

一言で言うと、ケースをつかむハンドです。今回のルールでは、スリッパの受け渡しなどに使える自作の「ケース」を使用することが認められています。(↓使用したケース)

このケースには左右に「凹」の部品がついています。

この部品は、ハンド側の「凸」とぴったりはまるように作ってあります。ケースを掴むとこんな感じになります。床に置かれたケースを掴み、フォークリフトのように持ち上げてスパイロボットに渡します。

凹凸をはめ込んで持つことで、ただ挟んで持つのに比べて格段にケースが安定します。

この「凹」と「凸」の部品は3Dプリンターで作っています。私はこのときに初めて3Dプリンターを使ったのですが、3Dプリンターで作った部品の寸法はCAD上の寸法とは無視できないずれがあるということをこのとき初めて知りました。 CAD上のデータに比べ、実物は少し「膨らむ」ようなイメージです。具体的には、今回の部品にはねじ穴が空いているのですが、CAD上で穴の直径をねじの直径ギリギリにしてしまうと、実際の部品のねじ穴にねじが入らないといった事態になってしまいます。

機構の工夫

この機構を設計する上で私が最も工夫をしたところ、それはこの角材です。

この機構は、ケースの凹とハンドの凸の位置を合わせることが重要です。しかし、置いてあるケースをただのハンドで掴みに行こうとすると細かい位置調整を制御によって行うことになり、制御が困難になるほか、ミスやタイムロスのリスクも大きくなります。この角材は、その位置調整を制御に頼らずとも大まかにできるようにするためのものです。

ケースに機体がぶつかると、ケースはこの角材に当たってブルドーザーのように引きずられ、凹と凸がちょうど合う位置に来ます。つまり、機体の左右方向の位置さえ合わせてケースに近づけば、機体の前後方向の位置とケースの角度は多少ずれていても勝手に合うのです。

ケースの話

今回紹介した機構とは直接関係しませんが、ケースについてちょっとだけ書きます。

Rook(スパイロボット)は自動で動いています。動画を見て頂くとわかるのですが、Rookはしばらく止まっており、The-Handがケースを差し出したタイミングでちょうど動き出しています。このタイミングは、Rookに搭載した光センサ(自分で赤外線を発し、反射した光の強度から反射率を計測するセンサ)によって計っています。

Rookについている光センサとは赤丸のこれです

これは、ケースの裏側に白いテープを貼ることで、ケースが差し出されるとセンサが見ている反射率が上昇し、ケースが差し出されたことがRook側に伝わるという仕組みです。

赤丸のところに見えているのがケースの裏に貼られた白テープです

ちなみに、Rookのスリッパを差す部分(アーム先端のY字の部分)も白く、ケースと誤認識してしまうので、そこには黒いテープが貼ってあります。

おわりに

いかがだったでしょうか。この記事を通して、ロボコンに機械班として携わることの面白さが皆さんに少しでも伝われば幸いです。

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