東海地区交流ロボコン2023結果報告

 こんにちは。22代広報で写真係の22-issohです。

 9月9日に名古屋工業大学にて開催された東海地区交流ロボコン(通称とうロボ)2023に、東工大から「MaquinistaA」「MaquinistaB」の2チームが出場しました。

大会について

 今回のテーマは「ロボット・ニュータウン」。制限時間2分半内に、4か所に計18個置かれた建材(段ボール)を5か所の「スポット」という台座に積み上げ、その数と場所により得点を稼ぐ1対1のゲームです。3か所のスポットは相手チームと共有されているので、臨機応変な試合運びも求められます。5か所すべてのスポットに3個以上かつ一番上に自チームの建材を積み上げるか、1か所に10個積み上げるかするとVゴールとなりその時点で勝利確定となります。

とうロボルールブック(https://tourobo.net/2023/rulebook.html)より引用

 今年は18チームがエントリーしました。

 Maquinistaの2チームは、ロボコンの経験、NHKロボコンの練習として2022年度入学のメンバー(現2年生)で構成しました。

機体紹介

 出場機体とその搭載機構について簡単に解説します。

Maquinista A チーム機体「Gaudi」

 本来はハンド2種類を2つずつ搭載する予定が、開発の遅れから1種類1つのハンドまで減ってしまう事態。機体前日に完成し、それに伴い制御する時間もほとんどない中で試合となってしまいましたが、制御担当者の努力でなんとか動いてくれました。

独立四輪ステアリングホイール

 新規設計の独立4輪ステアリングホイールを搭載。金沢工業大学さんが作っていたのを参考に、理論上バックラッシ0のトロコイド歯車とロボマスモーターをヨー軸回りの回転に使用。足回りの制御担当者の理論により手動操縦でも安定した動きができるようになりました。

前ハンド

 建材を置くために自由度4の巨大アームを搭載。各関節のモーターは慣性モーメントを減らすために全てアーム根本にあり、タイミングベルトにより関節を動かします。フレームは計量化のためにアクリル製を試してみました。先端の吸盤で段ボールを回収します。こちらも制御が非常に難しい機構でしたが、なんとか動かしてくれました。

Maquinista B チーム機体「Hideyoshi」

 一夜にして城を作ったといわれる秀吉。もともと建材を10個同じ場所に積み上げる戦略でしたが、加工の遅れにより得点を稼ぐ戦略に移行しました。こちらも完成したのが試合一週間前を切っており、また後述の1機構が没となったため制御の時間がわずかでしたが、各機構のポテンシャルの高さと制御担当者の優秀さ、操縦者の技術によりそれを補う試合運びができました…

自作サイドホイールのロボマスインホイールオムニ

 新規設計のオムニホールを搭載。東京大学さんが作っていたものを参考に、Maquinistaで使用例の少ないロボマスモーターと軽く加工が楽なインホイール方式を採用しました。また近年Maquinistaで入手が困難となった今までのオムニの代用案として、材料選定からサイドホイールを自作。ウレタンによりグリップ力をこれまでのものより高めになるようにしました。

清正

 建材を10積むと1.5m近くにもなるので、その高さに建材を置ける機構を搭載。秀吉の家臣で築城の名主加藤清正から名前を取りました(開催地近くの名古屋城も加藤清正が築城に携わったとか)。ハンド部分はプラダンを使って軽量化。2連装のロッドレスエアシリンダとすべりねじによりハンドを昇降させ、任意の高さに建材を積むことが可能となりました。10段積む機会は無かったですが、試合で3段以上積む時は大いに活躍しました。

Rhand

 スタートゾーン横の初期から2段積まれた状態で置かれた建材を掴むハンド。シンプルなハンドですがその分安定して建材を確保でき、得点を多く稼ぐことができました。

高虎

 これも築城の名主藤堂高虎から名づけられました。建材を10個積むにあたり、中央に5個並んでいる建材を同時に把持、そのまま機構ごと90°回転させて5個を瞬時に積むというトンデモ機構。真空パッド5個、エアシリンダ4本、モーター、すべりねじ昇降の複合機構であったのですが、吸盤選定ミスや複雑さによる干渉が解決できないことにより没に(そういえば藤堂高虎は関ヶ原の戦いの少し前に豊臣方から徳川方へ移ったとな??)。重心を考慮して機構自体は取り外さず、配管配線を剥がれた残骸が縛り付けられたまま本番を迎えました。

試合結果

 抽選の結果、Aチームは予選リーグでシード権を獲得しました。

Aチーム第一試合 vs大阪大学 チーム「Robohan」
 ○MaquinistaA 2-2  Robohan

 スコア2対2の同点となりましたが、審査員判定の結果勝利し、決勝トーナメントに進出しました。

Bチーム第一試合 vs豊橋技術科学大学 チーム「トヨハシ×ファミリー」
 MaquinistaB 10-14 トヨハシ×ファミリー〇

 両チームとも中央の共有スポットに建材を互いに置きあう接戦となりました。同点であったときに弊チームが指示ミスにより強制リトライを受け、その間に相手に得点を加えられ敗北、予選リーグ敗退となったと思われました。
 しかし予選リーグ敗退チームの中で最も得点が高かったからか、ワイルドカードとして決勝トーナメントに駒を進められました。

準々決勝第一試合 Maquinista A vs Maquinista B
 〇MaquinistaB 14-2 MaquinistaA

 準々決勝は東工大同士の対決となりました。両チームとも機体制作が遅れていたため、練習でもこの対決はやったことがありませんでした。
 Bチームは順調に建材を回収していきましたが、Aチームは手こずってしまい、Bチームが勝利しました。Aチームは試合終了と同時に前ハンドのアームが暴走し、フィールドのゲートに当たって(華々しく??)壊れてしまいました…

準決勝第一試合 Maquinista B vs 東京工科大学 チーム「積もうよ!ロボコンの街」
 MaquinistaB 14-16(Vゴール) 積もうよ!ロボコンの街〇

 共有スポットの取り合いとなりましたが、工科大のチームのほうが速くリードしていきました。こちらも奮戦したものの、1分30秒で相手にすべてのスポットに3段以上かつ一番上を取られVゴールを決められ、敗北しました。私も相手のVゴール阻止へ適切な指示が出せませんでした。

3位決定戦 Maquinista B vs 金沢工業大学 チーム「押しの機体」
 〇MaquinistaB 12-2 押しの機体

 我々のチームは前半は順調に建材を配置できていたものの、試合中盤に清正の滑りネジが回らなくなり(のちにエンコーダーの配線が外れていたことが判明)何もできなくなりました。しかし相手方も苦戦しており、そのまま制限時間経過し試合終了、勝利し3位となりました。

総括

 上述の通り、全体で3位となりました。22代が前回出場した関東春ロボコン、そしてMaquinistaの本命であったNHK学生ロボコンで予選敗退であったことから進歩できたのではないでしょうか。また今大会に向け上記のような技術開発も多くでき、NHKに活かせるものになったと思います。

 しかしそれでも他大に2敗しており、喜んではいられません。今回は上手く行かない機構が多くありました。機械班の機体開発が予定より非常に遅れたことなど、NHKに向けてすぐに正さねばならないこともあります。また機体を開発して、他大と交流して多くの学びがありました。これらをNHKロボコン・ABUロボコンで活かし優勝できるようこれからも精進します。

謝辞

 総合3位の賞品として、日本圧着端子製造株式会社様から、XAコネクタを大量に頂きました。ありがとうございます。大切に使わせていただきます。

 東海地区交流ロボコンの運営に携わった方々、貴重な場を設けてくださりありがとうございました。

 対戦し交流し情報交換してくださった他大の方々も、多くの学びと刺激をありがとうございました。

 Maquinistaに普段から協力いただいているスポンサーの皆さま、東工大関係者の皆様にもお世話になっております。ありがとうございます。

 またNHKに向けて頑張りますので、今後とも応援よろしくお願いします。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です